男と女(亀山早苗)

 男と女はこれだけでいい。名前などわからなくても、しゃれた会話などなくても、つながっていれば、何もわからなくてもいいのだ。  恋だの愛だのといっているうちは、男と女のことなどわかりようがないのではないか。言葉でわかろうとすることなど本来不要で、本能だけでつながる男と女のほうが動物としては正しいのではないか。